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【 講演 】 

「日本における質的心理学の25年と実践的質的研究の今後」 

 

10月4日(日)10:50-12:20

 

講師 無藤 隆 先生

 

現在、白梅学園大学子ども学部教授。現在、幼児教育の研究とともに、日本の幼児教育の制度改革に取り組んでいる。元・日本質的心理学会会長、また元・日本発達心理学会会長。

幼児期を中心に様々な発達心理学また幼児教育の研究を行ってきた。日本において、幼児教育や小学校教育の場面の特にビデオを用いた質的また量的な分析手法の開拓を行った。この10年ほどは幼児教育のカリキュラムのための基礎研究を行い、また質的研究方法を活用して、幼児教育の実践科学としての確立を目指している。手法としては、量的な方法と質的な方法を各種織り交ぜて行う。代表的な研究著作として「協同するからだとことば」(金子書房、1997)があるが、それはエピソードを元に質的な分析を行っている。「質的心理学講座、第1巻( 東京大学出版会、2008)では、「再詳述法」と名付け、エピソード記録(およびその際の映像資料など)を読者と共有し、その詳細な分析を記録と付き合わせつつ行う手法を提案した。幼児教育の理論についても検討を進め、「幼児教育のデザイン」(東京大学出版会、2013)などを発表している。

【 一般公開 シンポジウム Ⅰ】

「質的研究は保育実践にどのように寄与できるのか −その応答可能性を探る−」

 

10月3日(土) 10:00-12:00
企画・司会 中坪 史典(広島大学)

話題提供:大槻尚美(宮城教育大学附属幼稚園)、宮内  洋(高崎健康福祉大学)

指定討論:能智 正博(東京大学)
 

 今日、多くの保育・幼児教育研究者が実践のフィールドに赴き、観察やインタビューなどの手法を用いた研究を行い、その成果を学会・論文・著書などの形で発表している。同分野における質的研究は百花繚乱の様相を呈しており、市民権を得たと言っても過言ではないだろう。
 質的研究と一口に言っても、そのスタンスや方法論は多様である。例えば、研究者にとって異文化としての保育現場を対象に、ローカルな事象の記述を通して、アクチュアルな保育の現実や自明視された保育文化の慣習を描き出す研究者もいるだろう。他方,実践者とは異なる立場や役割を担いながらも、保育現場の人々と協働で実践を考え、その過程の中で自らの研究を紡ぎ出す研究者もいる。しかしながら、いずれの質的研究者においても、保育実践という社会・文化的文脈の中で個別・具体的な現象の理解に基づく知見を得ようとする点は共通する。
 こうした質的研究者の存在や質的研究の成果は、保育実践にどのように寄与することができるのだろうか。保育者に対してどのような応答可能性を有しているのだろうか。文化人類学の分野では今日、フィールドの人々に対する研究者(文化人類学者)の応答可能性をめぐって様々な議論や課題の析出が行われている.こうした動向をヒントに、本シンポジウムでは、質的研究の保育実践への応答可能性を検討することで、研究と実践の関係の深化を企図することを目指す。
 

 

【 一般公開 シンポジウム Ⅱ】

「災害による傷跡とレジリエンス―東北における、あるいは東北についての対話」

 

10月4日(日)13:30-15:30

企画・司会: 川島大輔(中京大学)・沖潮(原田)満里子(湘北短期大学)

話題提供1: 谷山洋三(東北大学)、李 燥像(京都大学)、川野健治(国立精神・神経医療研究センター)

指定討論: 松嶋秀明(滋賀県立大学)

 

 東日本大震災から4年が経過したものの、被災地で暮らす人々は今なお多くの困難を強いられている。(東北に限らず)被災経験についてどのように向き合い、そこからの人生を生きていくことができるのか。この問題について語るとき、語り手の立場や状況、価値観等によってその内容は大きく異なる。そして様々な声が混交することで、そこから生じるディスコミュニケーションが著しい葛藤や困難を産み出すこともある。他方で、唯一の声というものもまた幻想であり、多くの不協和を抱えながらも、「ともに歩んでいく」ための語り方というものもあるかもしれない。また、近年広く知れ渡りつつあるレジリエンスという概念もこの問題には欠かせないだろう。本シンポジウムでは、被災地における研究を実践する話者を招いて、この問題についての対話を行いたい。そして語られた内容や語り方、あるいは研究者自身の向き合い方などについての多声性、そしてそこからのレジリエンスについて考えたい。

 

【 一般公開 シンポジウム Ⅲ】

「コミュニティを紡ぐ学習をどう捉えるのか?」

日本社会教育学会プロジェクト研究 「社会教育研究における方法論の検討」

 

10月4日(日)15:45-17:45

司会・話題提供者:松本 大(弘前大学)

話題提供者:藤田美佳(奈良教育大学)、荻野亮吾(東京大学)、相良好美(東京大学大学院)

 

 日本社会教育学会では2012年からプロジェクト研究「社会教育研究における方法論の検討」を実施してきた。本シンポジウムは、このプロジェクトメンバーによるものである。社会教育研究は、公的社会教育や市民活動など地域における多様な学びを研究対象としている。研究方法上の主たる特徴は、1つには研究者が現場に深くコミットし、実践の発展に大きな役割と責任を果たしてきたことである。アクション・リサーチの成果を蓄積してきた。もう1つは、実践をコミュニティとの関連で分析するということである。実践をとおして人びとの関係性やコミュニティがいかに構築されていくのかに関心を寄せてきた。私たちはこの2点について、日本質的心理学会と学びあう土壌と意義があるのではないかと考える。社会教育は「社会をつくる教育」と表現することもできる。学習をとおしてコミュニティがつくられていく現場を研究するうえでの課題について議論したい。

 

【 一般公開 シンポジウム Ⅳ】

※フリースクール、若者の居場所などに関連する内容の予定です。

 

10月3日(土)15:00-17:00

企画:滝口克典(ぷらっとほーむ)

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